「冷蔵庫を動かすなら、2,000Whくらい必要かな?」
容量の大きい機種から探し始めると、自宅には必要のない重さや価格まで引き受けるかもしれません。でも、約1,000Whなら大丈夫と決めてしまうのも早いところです。
最初に決めるのは、冷蔵庫と通信機器のどれを、何時間使いたいか。手持ちの冷蔵庫の表示値と合わせれば、約1,000Wh帯から探せそうか、1,500Wh・2,000Wh帯も見るべきかが絞れます。
ただし、冷蔵庫が起動するかは容量とは別の確認が必要です。
自宅の数字を使いながら、比較を始める容量帯まで一緒に整理していきましょう。
冷蔵庫と通信機器を、何時間使いたい?
いきなり製品の容量を見るより、「停電したら何を守りたいか」を書き出すほうが近道です。同じ冷蔵庫でも、数時間の停電に備える場合と、翌日まで給電したい場合では、必要量が変わります。
冷蔵庫は何時間つなぐ想定?
まずは6時間、12時間、24時間など、備えたい時間を仮に置いてみてください。
停電中に扉を閉めたまま保冷する時間を取れるなら、必ずしも停電の全時間に給電する前提にはなりません。ただ、保冷がどれほど続くかは中身や室温にも左右されます。
ここでは「この時間は冷蔵庫に給電したい」と決めて進めます。
もう一つ、途中で電源本体を充電できるかも考えておきましょう。
マンションのベランダでソーラーパネルを使える、停電中も晴れる、と初めから見込むのは難しいもの。再充電できない場合に必要な量を先に出すと、容量を比べる基準になります。
スマホの充電だけ? ONU・ルーターも動かす?
スマホを数回充電したいだけなら、モバイルバッテリーなど小型の備えで足りる場合もあります。
そもそも冷蔵庫への給電が必要か迷っているなら、先にマンションの停電にポータブル電源が必要かを考える記事で、守りたいものを整理してみてください。
自宅のインターネット機器も動かしたい場合は、ONU(光回線の終端装置)やルーターなど、電源につなぐ機器を数えます。その消費電力と使いたい時間を、冷蔵庫の分に足していきます。
ただ、自宅の機器に給電できても、回線側が停電などの影響を受ければ通信できない場合があります。ここで計算するのは通信機器へ給電するための量であって、ネットにつながる時間の保証ではありません。
自宅の冷蔵庫では、どの数字を使う?

冷蔵庫の扉の内側などにある品質表示ラベルや取扱説明書で、品番を探します。次に、同じ品番の「年間消費電力量」を確認してください。
パナソニックの案内には表示ラベルの探し方も載っています。ラベルが読みにくければ、品番をもとにメーカーの仕様や説明書を調べられます。
表示には似た数字が並びますが、役割はそれぞれ違います。
| 表示・単位 | 分かること | 容量選びでの扱い |
|---|---|---|
| 定格内容積(L) | 庫内の容積 | 大きさだけで必要な電力量は決めない |
| 消費電力(W) | 仕様に記載された運転時などの電力 | 電源の出力との照合に使う。起動時に必要な出力とは限らない |
| 年間消費電力量(kWh/年) | 規定の方法で求めた1年分の電力量 | 時間当たりの年平均相当へ換算し、容量帯を絞る参考にする |
消費者庁の表示案内によると、年間消費電力量はJISの測定方法に基づく表示です。冷蔵庫の大きさだけで選ぶより、手持ちの機種の値を使うほうが具体的な判断につながります。
古い機種では、調べた先に異なる年値が並ぶこともあります。
たとえばパナソニックの「NR-F561PV」は、同社の資料で2015年方式が325kWh/年、2006年方式が190kWh/年。小さいほうを都合よく採用せず、どの測定方式の数字かを確かめましょう。
年間の値が見つかっても、それだけで起動時の出力や接続してよい配線は分かりません。
品番を控えたところで、自宅の冷蔵庫の接続・起動条件を確認する手順も確認しておくと、「容量は足りるのに使えない」という見落としを防げます。
冷蔵庫と通信機器を足すと、何Wh必要?
表示値が分かったら、年間消費電力量をいったん「1時間当たりの年平均相当」に直します。そこへ、給電したい時間を掛けてみましょう。
冷蔵庫の参考値(Wh)=年間消費電力量(kWh/年)×1,000÷365÷24×給電したい時間
通信機器も同じ時間だけ使うなら、「消費電力(W)×時間(h)」を足します。スマホを充電したり照明を使ったりするなら、その分も別に必要です。
なお、ACアダプターに書かれた最大定格が実際の消費電力と同じとは限りません。分からない機器を小さな値で見積もって、必要量を少なく見せないようにします。
具体例で見てみます。
冷蔵庫は先ほどのNR-F561PVの2015年方式による325kWh/年、ONUとルーターは合わせて仮に15Wとします。15Wは実測値ではないので、自宅では確認した値に置き換えてください。
| 給電したい時間 | 冷蔵庫の年平均相当 | 通信機器15Wの仮定 | 合計の参考値 |
|---|---|---|---|
| 6時間 | 約223Wh | 90Wh | 約313Wh |
| 12時間 | 約445Wh | 180Wh | 約625Wh |
| 24時間 | 約890Wh | 360Wh | 約1,250Wh |
この表は、冷蔵庫と通信機器へ届けたい電力量を仮に足したものです。ポータブル電源の変換ロスやスマホ充電の分は、まだ入っていません。
自宅の冷蔵庫が別の値なら、計算式の325kWh/年をその値に替えてみてください。
日割りの数字で稼働時間は約束できない
「12時間で約625Whなら、1,000Whの電源で必ず12時間動く?」
そうは言い切れません。年間表示を均等に割った値は、停電したその日の冷蔵庫の消費量ではないためです。
シャープの説明でも、実際の消費電力量は設置の仕方、温度設定、周囲の温度・湿度、扉の開閉、食品の量などで変わるとされています。
起動時に必要な出力が足りなければ、Whの計算上は余裕があっても動かせません。この計算は稼働時間の約束ではなく、比較する容量帯を絞るための目安です。
では、表の数字をどのように製品の容量へつなげればよいでしょうか。
1,000・1,500・2,000Whのどこから比較する?
まずは出した参考値と、電源の公称容量を比べます。約1,000Wh帯で余裕がありそうかを見て、厳しければ1,500Wh、2,000Wh帯へ候補を広げる順番です。
公称容量をそのまま使える量と考えない
公称1,000Whの電源から、冷蔵庫へ1,000Whをそのまま渡せるわけではありません。家庭用コンセントと同じAC出力を使う際の変換などで、取り出せる量は減ります。
製品ごとの説明にある計算条件も確かめながら、公称容量と必要量の間に余裕を持たせる必要があります。一律の効率を全機種に当てはめて、稼働時間を決めることもできません。
先ほどの例なら、12時間の参考値は約625Wh。約1,000Wh帯から比較を始める理由になります。
一方、24時間の約1,250Whは、公称約1,000Whを数字の上ですでに超えています。公称約1,500Whとの差も約250Whしかないので、変換ロスや実際の使用差を考えると余裕があるとは言えません。
この条件なら約2,000Wh帯も比較対象です。
| 自宅で分かった条件 | 比較を始める容量帯 | 次に確かめること |
|---|---|---|
| 短時間で、冷蔵庫と通信機器の参考値が約1,000Whを十分下回る | 約1,000Wh | 実使用差、変換ロス、出力・起動条件を照合する |
| 約1,000Whでは余裕が乏しいが、使用時間を延ばしたい | 約1,500Whから。必要なら約2,000Whも | 重さや置き場所も含め、増やす容量が必要かを比べる |
| 参考値だけで約1,500Whに近い、または超える | 約2,000Whを含めて再検討 | 1台で賄う前提や給電時間を見直す |
| 冷蔵庫の表示値や通信機器の条件が不明 | 購入判断を保留 | 品番、年間消費電力量、接続・起動条件を調べる |
容量を大きくすれば、置き場所や持ち運びも考えなくてはなりません。
反対に、冷蔵庫には給電せずスマホの充電だけ備えると決めたなら、この表の大きな帯は必要ありません。守る機器や時間を変えたときは、計算もやり直せます。
容量帯が絞れたら、どの機種を比べる?
ここまでで決められるのは、比較を始める容量帯です。
実際の候補を選ぶときは、冷蔵庫の起動時を含む出力、コンセントや配線の条件、本体を置ける寸法、保証・回収条件を照合します。同じ容量でも、条件が合わなければ候補から外れます。
自宅の参考値が約1,000Whを十分下回り、接続条件も確認できたなら、候補ごとの出力や寸法まで見比べたいところです。マンション向け約1,000Wh機の比較から、自宅で使えそうな機種をさらに絞れます。
約1,000Whでは足りない、あるいは24時間の試算で約1,000Whに近づくなら、容量を増やした場合の重量や保管場所も気になります。冷蔵庫用の大容量電源の比較で、約1,500Whで収まるか、約2,000Whまで必要かを比べてください。
まだ表示値や起動条件が分からないなら、容量を上げて見切り発車する必要はありません。
冷蔵庫の品番と、給電したい機器・時間を書き出すところから始めましょう。買うべき容量だけでなく、今は購入を保留すべきかも見えてきます。
